大学受験・古文の勉強の仕方 その3古文文法を読解につなげる②

 皆さま。おはようございます。こんにちは。こんばんは。大学受験パーソナルラボLEAD国語科の桝崎徹です。

 1回目(主語の特定)、2回目(古文文法を読解につなげる①)ときまして、今回も文法を読解につなげていく勉強法です。

助動詞を正確に読もう!

 いきなりですが、この例文を見てください。

 恋しいからむことの堪へがたく、湯水飲まれず。   『竹取物語』

 ちょうど先週の授業で、LEADで使用しているテキストに載っているこの短文を生徒に現代語訳してもらうと、

  「恋しいようなことががまんしにくく、湯水は飲まれない。

って訳してくれました。・・・うーん・・・。微妙に違うんですねぇ。前半はいいんです。“恋しからむ”の「」もちゃんと「婉曲」で訳しています。(※「む」の下に体言(=名詞)がくっついているときは「婉曲」(=断定を避ける、日本人お得意の表現(~のような、~みたいな))で訳してくれています。

それではどこがモンダイなのか?後半の下線部「湯水は飲まれない」のところです。

古文では主語を表す「は・が」や、目的語にあたる「を・に」が省略されていることが多く、自分でそれを補わなければいけないことは今までもお伝えしている通りです。この例文を訳してくれた生徒さんの場合、前回書きました「助動詞の意味の識別」を正確に把握し、それを現代語訳にいかすことができていないんです。

 その助動詞とは「湯水飲まれず」の「」です。その「」の直後に「打消しの助動詞」がくっついていますから、「」の意味は「可能」なんです。それらを続けて「飲むことができない。」となります。

また、「湯水は」も微妙です。「飲む」は「客体を必要とする動詞(=英語の場合の他動詞)」ですので、「()飲む」のが本来の訳です。(※このあたりを記述問題で意識して書けるかどうか、大事です!)

 ですから、正確な訳は、

  「恋しいことががまんしにくく、湯水()(())飲むことができない。」

です。(※補足ですが、「湯水は」でもいいんですよ。ただし、「湯水()」にしてしまうと、自分で書いておきながら、「は」があるので、「湯水」を主語だと勘違いしてしまう生徒さんが多いんです。・・・言ってること、わかりますかね?

文の中心は、主語と述語

少し現代文の話になりますが、(・・・現代文でも古文でも同じなんです。) 現代文の授業のとき、特に初回の授業で何度もくりかえし言っているのは、“一文でも要点がある”ということです。それが「段落」に連なり、「文章」となる。その基本となる、一文の要点とは、“主語・述語”です。それを確認してもらうために次のような短文を読んでもらい、主語・述語を正確に判断してもらいます。

 『その本は、ぼくも読もう。』

 述語は皆さんすぐに見つけてくれます。・・・あ、主語と述語、どちらから先に選ぶのか?大丈夫ですか?述語ですよ!述語を見つけた上で、誰が、何が、どうするのか、どんななのか、なんなのか、を探していく。この手順ですから。

 さて、『その本は、ぼくも読もう。』の述語は、『読もう。』です。そして、主語は『ぼくも』です。これを多くの生徒さんが、『その本は』を主語にしてしまいます。これは中学生であろうが、難関大学を目指す受験生であろうが、です。

 このことから何を言いたかったのかといいますと、多くの人が「~()」があるとその文節を主語だと思ってしまうんですね。確かに多いのは事実です。ですが、もしかこの日本文を英語に訳したらどうなりますか?

I will read the book, too.

ですよね。英語なら確実に外国語であるという意識が働くのか、皆さん、主語・述語をきっちり把握してくれるのですが、『その本は』を主語にすると・・・The book will read me・・・なんや、訳わかりません・・・。

―――なにが言いたかったのか?―――そうです。

「サザン()好きだが、ミスチル()嫌いだ。ジブリ()好きだが、ディズニー()それほど好きではない。」

・・・これ全部、桝崎個人の好みなんですが・・・これ、みんな主語がない文章ですね。“誰が?”が」わからないですよね。全ての「は」を「を」に言い換えても意味は変わりません。この場合の「は」は「強調」です。

係結びの意味をつかもう!

ここでやっと古文の話に戻ってくるのですが、古文の中の係助詞(=係り結びの“係り”の方です。)「ぞ・なむ・や・か・こそ」は有名ですが、それ以外に、本当は「は・も」もあるというのを忘れないでください。「は・も」は文末を変えることもできませんし、そもそも現代語訳に反映させなくてもいい係助詞です。『ドラゴンボール』のサイヤ人編にたとえると“ラディッツ”レベルです。(・・・最近、本当に生徒さんとの共通の話題がなく、唯一、この『ドラゴンボール』とスタジオジブリ作品くらいならなんとか。・・・悲しいことです・・・。)   

係助詞についても今後、書いていこうと思っていますが、「ぞ・なむ・こそ」は係助詞の中で、これまた『ドラゴンボール』にたとえると、ナメック星編あたりの“フリーザ”レベルです。終止形で終わるはずの文末を「ぞ・なむ」は連体形に、「こそ」は已然形に変えることができる。でも現代語訳するときに現代語訳に反映させる力はないんです。(今の日本語にも残ってますよね。「おまえこそ(・・)、あの子のことが好きなんやろー!」や「これ()、俺が探し求めていたもんや!」とかです。両方とも、「おまえ」「これ」を強調しているだけですよね。無視しても意味は変わらない。ただの強調です。(※本当は意味が無いことは無いんです。それは今後、書かせて下さい。)

それに対して、「や・か」はクリリンを殺され、その怒りでとうとう下級戦士から脱皮した悟空の“スーパーサイヤ人”レベルです。文末を変えるだけではなく、現代語訳する時にも反映させる力を持っている。(“疑問or反語”ですね。現在、よく使われて残っているのは「か」だけです。「今、何時です()?」「誰が好きです()?」の「か」。これ、昔は文末ではなく、文中にあったんです。いや、ホンマ、日本語って不思議ですよねぇ。「今日、LEAD()行く。」(訳:「今日、LEADへいく()?」)になります。文中の「や」を一旦、無視して、文末に持ってくる。そして「や」を現代にも残っている「か」に置き換える。この場合、疑問の意味になりますが、少し言い方を変えてみたらどうなりますか?関西の人なら得意でしょうが、文頭に「誰が」みたいなもの置くような感じで。疑問文のように文末をあげるのではなく、下げるような調子で。・・・はい。どうなりますか?「(誰が)今日、LEADへ行くか!」・・・どうでしょう?暗に、「今日はLEADへ行かない」という意味合いが出てきたでしょうか?そうです。それが“反語”です。「誰が今日、LEADみたいな、(スキンヘッドの国語講師がおるような所へ)行くか!行かへんわ!」ですね。“反語”は自分に主張があるんです。

そのスーパーサイヤ人の「や・か」に先ほどのラディッツ「は・も」がくっつくことがあるんです。「やは・かは・やも」。・・・フージョンです。・・・実際、スーパーサイヤ人の悟空とラディッツがフージョンしたら、逆に悟空の戦闘能力は落ちてしまうのかもしれませんが・・・、それは置いといて。「やは・かは・やも」がきたら、ほぼ意味は“反語”になります。) 

今回のまとめ

・・・話がいろんな方向へ行きましたので、ここまでをまとめますと・・・

  • 主語、述語はめちゃくちゃ大事!(一文の要点は主語・述語)
  • 主語は“は”“が”だけではない。(これに注意しとかないと記述ができない)
  • 文法に即して現代語訳すること。
  • 係助詞について。(“やは・かは・やも”はほぼ反語!)

追伸:助動詞を見分けるには、上の動詞の活用形をしっかり見よう!

さて、古文の文法というと先にも前回、今回のはじめにも出てきましたが“助動詞”で

す。必ず覚えておかなければいけないものは「活用・意味・接続」ですね。

皆さんはこれをやみくもに「覚えなあかんー!」という思いから優先順位なしに根性で覚えてしまおうとするのですが、この三つの中でもまず初めに覚えるべきは「接続」す。

多くの皆さんが、「意味」から覚えようとするのですが、それから始めても、文章の中のどれが助動詞なのか、見分けることができないんです。順番が逆なんです。そのうちに古文が嫌いになっていく・・・。僕自身がそうでした。高校時代の古文の時間は早弁(最近この言葉の意味が通じません。「授業中に昼休みでもないのに、隠れて早く弁当を食べる」の意味です。) か寝る時間でしたから。・・・こんな人間が今、古文を・・・話せば長くなるので、これは置いておきます。

まず、「接続」から覚えましょう。

「接続」、わかりますね?その助動詞が何形にくっつくのか?です。たとえば、打消の助動詞「ず」。「行く」という動詞に「ず」をくっつけると「行()ず」になりますね。「ず」の前にある「行く」が未然形に変形します。このように古文、というか日本語は、後にどんな言葉がくっつくかによって、その前の言葉が後ろのために変形してあげるというルールがあります。それが「接続」です。

古文の助動詞で一番多いのが「未然形」に接続する助動詞です。

 早弁か寝ていた高校の古文の授業中で、唯一といっていいくらいに覚えているのが、この未然形接続の歌。

『もしもし亀よ』のメロディーで。

♪む・ず・むず・す・る・じ・まし・まほし・さす・らる・(と)・しむ・未然形~♪

「もしもし亀よ~ 亀さんよ~ 世界のうちで~お前ほど~」まで

(歌の意味:痔がなんか、むずむずしてるんです!触られる(さすられる)としみる(しむ)んです!)

・・・ひかれた方が多いとは思いますが。ちょっと下品なほうが、このようなものは覚えやすいんです。

 今回は長くなりすぎたかもしれませんが、次回はこの続き、また現代文にも迫っていきたいと画策しています。

 最後まで読んでくださった皆様、ありがとうございました。

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