大学受験・古文の勉強法 その2 古文文法を読解につなげる

平治物語

皆さま。おはようございます。こんにちは。こんばんは。大学受験パーソナルラボLEAD国語科の桝崎徹です。

前回は古文読解で避けては通れないけれども、結構みんなあやふやなままにしている“主語の特定”について書きました。

今回は“古典文法(特に助動詞)を読解にどのように役立てていくのか”について書いていきたいと思います。


大学入試では、今までのセンター試験でも、私立文系でも、古文の文法問題はほぼ必須でした・・・助動詞の識別の問題や敬語の敬意の方向を問う問題など・・・。そして、国公立大の二次試験での現代語訳の問題では、文法通り1対1対応で正確に現代語に訳さないと点になりません。これからの大学入学共通テストでも、文法がしっかりしていないと高得点は難しいですね。

現状では、“文法”“読解”がバラバラな高校生が本当に多いんです。
せっかく助動詞・敬語・古文単語などをせっせと暗記したのに、それなりの長さの古文の文章を読んだとき、ほぼなにが書かれているのか分からない。
特に、前回とも重なりますが、主語の特定できない。あるいは、今までの文法事項を一切無視して、古文に自分を寄せていくのではなく、逆に、自分独自の現代語訳に強引に古文を寄せてくる。

・・・以下のようなやりとりはよくあります。

桝崎「これ、現代語訳してみて。今昔物語やねんけど、
大納言なりける人、物語などせられけり。』」

生徒「大納言であった人が、世間話などをしなさった。」

桝崎「ええやん!パーフェクトな訳やん!なんでその訳になるん?」

生徒「・・・え?なんでって・・・?そうなるから・・・。」

桝崎「・・・いやいや、ちがいますやん。その訳をした根拠やん。ここにこの助動詞があるから・・・とか。・・・たとえば、“物語などせられけり”を“世間話などをしなさった”って訳してくれたけども、“せられ”の“られ”の意味は何?」

生徒「可能。」

桝崎「即答やん!それはなんで?」

生徒「・・・しなさった。やから。」

桝崎「・・・いや、だから、それはなんで?って・・・。」

生徒「・・・え。なんのことか・・・。」

このやりとり、わかりますか?逆なんです。“世間話などをしなさった”と自分が訳すから“尊敬”の意味になるのではなく、“尊敬の助動詞「られ」”があるから、“世間話などをしなさった”と訳すんです。

[☆この場合、上記の「られ」は尊敬の意味であってるんです。直後に「可能」になる“打消語”もないし、直前に「自発」になる“心情語や知覚語”もないし。主語が高貴な人なので。]

それでは。

前回の“主語の特定”に関連して、“どのような助動詞が使われているかで主語がわかる”というところから始めていきたいと思います。

過去の助動詞「き」「けり」で主語がわかる!

まずはこの短文から。

「~~その人、ほどなくして失せにけりとぞ聞きはべり。   
『徒然草』  」

さて、こんな短文の中にも大事なエッセンスが詰まっているのです。

「き」と「けり」の意味の違い、覚えていますか?


そうです。両方とも意味は「過去」なのですが、「き」“直接過去”といって自分の体験を表す助動詞。
それに対して「けり」“間接過去(伝聞過去)”といって他人の体験を聞いて伝えるときに使うものでしたね。(※ちなみに「けり」には“詠嘆”の意味があります。会話文や和歌に出てきたときは、ほぼ“詠嘆”であると思ってください。

僕が受験生時代の文法の教科書にはこの“詠嘆”の現代語訳を「~なことであるよ。」という妙な訳し方がだいたい載ってましたが、「~だなぁ。」(関西弁なら「~やなぁ。」でいいですよ、要するに今まで意識していなかったものに初めて気づいた感動や驚きのことです。)

さて、この「き」=“直接過去”/「けり」=“間接過去”を利用して、上記の主語の特定ができます。

下線部①「けり」は“間接過去”ですから、「ほどなくして失せ」たのは、“自分”ではないですね。“その人”です。
下線部②「し」は“直接過去”「き」の連体形ですから、「聞きはべり」したのは“自分”です。ですから、細かく現代語訳すれば、

「その人はまもなく亡くなってしまったとか、(私は)聞きました。」

となります。

 

この知識が大いに役に立ってくるのが、日記です。
(※ちなみに『徒然草』は随筆)

日記は“作者本人が書くもの”です。ですから、日記の地の文(=会話文/和歌以外の文)に「けり」があると、基本的に作者(私)は主語にならないということが言えます。日記に自分の過去の体験談を書くとき、ふつう「き」を使います

尊敬の助動詞「る・らる」「す・さす・しむ」でも主語がわかる!

助動詞で一番初めに覚えるのが、先ほどの「き」「けり」だとすれば、その次に来るのが、受身・可能・自発・尊敬の意味を表す「る・らる」、そして使役と尊敬の意味を表す「す・さす・しむ」ではないでしょうか。両方とも尊敬の意味がありますから、尊敬語の仲間なんです。

※「る・らる」も「す・さす・しむ」も両方とも下二段活用ですね。

接続もほとんど同じです。接続も同じです。
「る」は四段・ナ変・ラ変の未然形に接続。
「らる」はそれ以外の未然形に接続します。

このことから、「る」の上にくる母音は必ず「a」←これ、めっちゃ便利です!わかりますか?
四段の未然形の活用語尾は「a()」、
ナ変(=死ぬ/往ぬ)の未然形は「死()」、
ラ変(=あり/をり/侍り/いまそがり)の未然形は「あ()」。

すべて「a」ですよね。「らる」はそれ以外の未然形に接続しますから、
上一段・上二段の未然形なら「i」、
下一段・下二段の未然形なら「e」、
もう一つ、カ変(=来)の未然形なら「こ=ko」。

ですから「らる」の上にくる言葉の母音は必ず「i/e/o」のどれかになります。この関係は「す・さす」も同じ。
「しむ」はどんな未然形にも接続します。まとめておきましょう。

 aる                 a

 i・e・oらる             i・e・oさす

語を識別する時にめちゃくちゃ役立ちますから、必ず覚えておいてくだいね。
特に「る」と完了・存続の助動詞「り」の違いなどです。ラ行の助動詞なんかが出てきたときに、この二つを見間違う人が本当に多いんです・・・。

ちなみに、「り」「サ変の未然形(=せ)+四段の已然形(e)」(=さみしいリカちゃん)でしたね。ですから、「り」の上にくる語の母音は必ず「e」です。
『♪エ~リ~♫』で覚えてください。もちろん僕の大好きなサザンの!
・・・以前、授業中にこのことを言っていましたら、『いとしのエリー』を『さみしいエリー』で覚えてしまっていた生徒がいました・・・。

・・・すいません。文法事項が長くなりすぎました・・・。

それでは次の例文を確認してください。

雪のいと高う降りたる、例ならず御格子(みかうし)まゐり()(びつ)に火おこし、物語などして集まりさぶらふ「少納言よ、香炉(かうろ)(ほう)の雪いかならむ。」と仰せらるれば御格子上げさせて御簾(みす)を高く上げたれ笑はたまふ。
『枕草子』

学校の教科書にも載っていたでしょう、『枕草子』の「香炉峰」のくだりです。

前回の復習もかねて、主語の特定もやっていきましょう。

「少納言よ~」のセリフが始まる前までの「」と「」に注意です。波線部までの主語は「雪」ですね。(※主語が変わる可能性が高いのは「を・に・が・ど・ば」でした。) 
それ以降はが二回続きます。主語はで変わって、それからは別の主語が続きます。(※「て」「で」の前後で主語が変わる可能性は低いのでした。)「~さぶらふ、」のでまた主語が変わるかもしれないサインです。

さて、ここから「少納言よ~」のセリフが続くのですが、このセリフを誰が言ったのか?


ヒントは傍線部①「らるれ」です。この場合、この「らるれ」は「尊敬」の助動詞です。(※「る・らる」の直前に「敬語」がくっついていたら、「尊敬」の意味になります。)この直前に「仰せ」という尊敬語もありますから、主語は身分の高い人ですね。そのあとのでまた主語が変わるかもしれないサイン。
事実、「御格子上げさせ、」のさせの意味は「使役」なので(※「す・さす・しむ」の直後に「尊敬語が付いていない場合」は必ず「使役」の意味になります。)、先ほどの身分の高い人ではありません。そのあとでつながりますので、「御格子を上げさせ」た人と、「御簾を高く上げ」た人は、また同じ人となります。

そしてまた。主語が変わるかもしれないサインです。確かめてみると・・・はい、「笑わたまふ」。傍線部②「「尊敬」の意味の助動詞です。その下に「たまふ」という尊敬語もついているから、いわゆる“二重尊敬”というやつですね。

・・・ここまで、どうでしょうか?

この例文の場合、冒頭の「雪」以外の主語「筆者=清少納言」です。そして身分の高い人は清少納言がお仕えしていた中宮定子です。
(※ちなみに紫式部がお仕えしていたのは中宮彰子でしたね。「中宮」とは「天皇の奥さん」のことです。二人の奥様の旦那様は同じで、一条天皇です。“古典常識”も今後、書いていく予定です。読解には欠かせませんから。)

前回の「て・で」「を・に・が・ど・ば」尊敬の助動詞の有無は主語の特定の大切な武器なんです。

 現代語訳は以下の通りです。

[現代語訳]

雪がたいそう高く降り積もっているのに、いつもと違って御格子を下ろし申し上げて、いろりに火を起こして、世間話などをして集まってお仕え申し上げているときに、「少納言よ、香炉峰の雪はどんなだろう。」と(中宮様が)おっしゃるので、(ほかの女房に)御格子を上げさせて、(私が)御簾を高く巻き上げると、(中宮様は、)お笑いになる。

最後にこのようなものはどうでしょうか。昔のセンター試験に出されたものです。

素晴らしい才能の持ち主の子どもを持った父と、それを誉めている天皇(御門)という設定です。

(その子どもは)七歳にてふみつくり、さまざまの道にくらきことなし。御門(みかど)きこしめして、「これただ物にはあらざるべし」と興ぜさせたまふ。〈中略〉父君身にあまる官爵(くわんしゃく)みたまふにつけても、ひとつ子にあれば、ゆゆしうのみおぼさる。                         『松浦宮物語』

傍線部①は尊敬の助動詞「させ」に尊敬の補助動詞「たまふ」がついている二重尊敬ですが、②は「たまふ」だけで単なる尊敬語です。

・・・だからぁ・・・。①が②より身分の高い人、ということになります。この場合、登場人物は「御門」と「父君」だけなので、①が古文の世界では絶対者である「御門」。②が「父君」ということになります。

[現代語訳] 

(その子どもは)七歳で漢詩を作り、さまざまな道に不足しているところがない。天皇が(その噂を)お聞きになって、「これはただ者ではないようだ」と興味をお示しになる〈中略〉父君は身に余るほどの官職(官位と爵位)を御覧になるにつけても、一人っ子であるので、(何か)不吉に思っておられた。

今回はここまでにいたしとうござります。
古文文法を読解にどのように活かしていくかについてはまだまだ続きがあります。
古文は、文系の人はもちろん、国公立志望の人は理系でも、大学入学共通テストでも必須ですし、京大ならば、理系でも二次試験で古文は必須です。
しかし、きちんと基本から積み上げて行けば、合格点は取れるようになります。
がんばりましょう!

今後ともよろしくお願いいたします。最後まで読んで下さった方々、ありがとうございました。

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