『日本語読解力』講座をスタートします!
・・・生きる力・合格する力としての読解力を身につけよう!
「東ロボくん」プロジェクトをご存知でしょうか。ロボットが東大に入れことを目指すプロジェクトです。東ロボくんの母と呼ばれるこのプロジェクトのリーダーが、上記の本を書かれた新井紀子さんです。
東ロボくんと呼ばれるAI(人工知能)は4年間でMARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政大学)、関関同立合格圏内、国公立大学も一部狙えるまでの能力を獲得しました。しかし、東大合格の力は今のままでは不可能だということでこの実験プロジェクトは凍結しました。
なぜダメだったのか?—東ロボくんは「膨大な知識は有っても文章の読解力が致命的にない」つまり“AIは意味を理解できなかった”のです。
「知識に比べ幼稚な知性」という AIの課題が明らかになりました。
その研究過程で新井さんは、全国25000人の中高生のRST(リーディングスキルテスト=読解力テスト)を行い、中高生の多くが、教科書レベルの文章も読めないという現実に愕然とされ、全国の生徒の読解力を上げるために、社団法人まで立ち上げられています。
「教科書が読めない」というのは、特にここ数年は私たちが現場で抱える最も大きな課題の一つでした。
実際のテストで、答えは知っているが、「設問が読めない」「選択肢が読めない」ので正しい解答を選べなかったという問題が教科を超えて頻繁におこっていました。
<「教科書が読めない子どもたち」からの引用>
第3章 教科書が読めない
「迫ってきているのは、勤労者の半数を失業の危機に晒してしまうかもしれない実力を培ったAIと、共に生きて行かざるをえない社会です」
「『(AI以後も)残る仕事』の共通点は、高度な読解力と常識、加えて人間らしい柔軟な判断が要求される分野です」
「日本の中高生の読解力は危機的と言ってよい状況にあります。その多くは中学校の教科書の記述を正確に読み取ることができていません」
「学校教育に何が必要か。『一に読解、二に読解、三、四は遊びで、五に算数(数学)』」
「表層的理解はできるけれど、推論や同義文判定などの深い読解ができない場合、文章を読むのは苦ではないのに、中身はほとんど理解できていないということが起こります。AIに似ています。AIに似ているということは、AIに代替されやすい能力だということです」
「 AIに代替されない人材とはどのような能力を持った人なのでしょう。それは、意味を理解する能力です」
「AIと共存する社会で、多くの人がAIにはできない仕事に従事できるような能力を身につけるための教育喫緊の最重要課題は、中学校を卒業するまでに、中学校の教科書を読めるようにすることです」
「もしかすると、多読ではなくて、精読、深読に、何らかのヒントがあるかも」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ある意味で恐ろしい現実ですが、早く気づき、早く対処すれ道は拓けると確信しています。それが教育の本来の使命だからです。そしてAIを通して、私たちは「人間らしさとは何か」「知性とは何か」を改めて考えるきっかけを与えられたといえます。
何より、ますます進化の進む AIと共に生きていく力をつけるためには、
① AIが人間にとって代われない読解力〜意味がわかる力〜がこれから一層必要になる。
②入試でどの教科にも必要なものこそ、読解力である(教科書を正確に読む力、その意味を理解する力)。
(すでに高校入試においても意味を問う問題が増えてきています。)
『日本語読解力』講座が6月よりスタートします。(詳しくは別紙記載)
現在、生徒の皆さんには「日本語力テスト」を空き時間に受験してもらっています。
内容は、
① 中学校レベルの日本語の説明文一文の理解
② 中学校数学の教科書の設問の理解
学年に関係なく、学校の智識が影響しないテストです。後日結果を受験者全員にお渡しする予定です。
『日本語読解力』講座は日本語読解の基礎力をつけていく講座です。正解を問うより、日本語を理解してもらうための講座です。ディスカッションを交え、表現力をつけることも目指します。