1、わからないことは、悪いこと?
わからないこと自体は「問題」なのか?
これは私たちも、向き合った問題です。
同じ教え方でもわかるようになる、できるようになる人がいます。
もっというならば、どんな教え方をしてもできるようになる人がいます。
そうすると、わかる人がいるのにわからないのは、あなたが悪い、という考え方に、教える側がなりがちです。
集団授業の場では基本的にその考え方が主流だと思われます。
しかし、こういう経験は誰でもありませんか?
「〇〇先生の授業のおかげで、〇〇が好きになった」または「嫌いになった」ということ。
わからないことをわからない、といえる環境を
10年近く前のことです。カリフォルニア大学の見学に行くためにカリフォルニアの友人を訪ねて、ロサンゼルスからサクラメント行きの小さなプロペラ機に乗りこみました(大丈夫、これ?!という位の振動!💦)。
その時、前方の座席に横に立った30前後の中東系の男性にC Aの人が何か話しかけていました。
じっと聞いていた男性は、“I don’t understand.” と落ち着いてはっきりと答えたのです。
これは私にとって衝撃でした。
英語圏に来て、英語が理解できない…。これが日本人なら、自分の英語力のなさを恥じて萎縮してしまうかもしれない。
しかし、その男性は相手に伝えたのだと思いました。
「私にわかるように伝えてくれ」と。
実際私たちも、塾の現場では、伝えています。
『全てわかるなら、塾で教えてもらう必要はないから、
ここに来る必要はない。
だから、わからないことがあって全然OKだし、
わからないところははわからないと言ってくださいね。』と。
でも、それは相当現場で考え、意識して、これが最もいい解決方法だ、という結論に達したからです。
日常の突然の場面で、相手にわからないことを伝えるのは大人でも子どもでも簡単ではありません。
過去に「こんなこともわからないのか?!」といわれた、もしくはいわれた人を見た経験があるからです。
ところが、世界が大きく変化している時代、大人でもわからないことだらけです。
そもそも、人は、全てを知ることはできないし、自分の知らないこと、わからないこと、疑問、間違いこそが、これから大切なことになるかもしれません。
そう!わからないところこそ大事なのです。
わからないこと、できないことがあることは、これからの伸びしろ=可能性がたくさんあっていいことなのです。
「わからない」ところに気づき、それを自分で解決していくこと、つまり自律して学んでいく力をつけていくことこそ、これからの教育の方向性です。
20世紀までの「答えのある問題」の解き方を詰め込む勉強。これは、受け身であまり楽しいものではなかった。
21世紀は「答えのない問題」について、自分で課題を見出し、考え抜いていく力が求められています。
ですから、「わからない」ことがあること・そこに気づくことは大事なことで、そこが課題の出発点です。
「わからないところ」がわかってしまえば、解決は早い。
一緒にわからないところの探索の旅に出かけましょう😄