大学入試:英語の読み方

英語担当 熱田 毅

文法=英語のルールに従って、読んでいこう!


和訳をするにあたって、あるいは、英文をきちんと解釈するにあたり最低限必要なルールがあります。

それが、文法です。

文法なんて、今、共通試験に代わって、出題されないのだから勉強する必要あるのかという方もいらっしゃるかもしれません。

あるいは、実際、文法出来なくとも、別に読めると言う方もいるかもしれません。

確かに、単語力と背景知識、そして常識を組み合わせて、何を言わんとしているかを理解する読み方でも通用することがあるのは事実です。

その流れに乗って、単語を当てていくような訳でも、結果的に文法に従った訳とほとんど同じであることもあるのはあります。

例えば、地球温暖化の話が来た時に、「好きなだけCO2を吐き散らして、好きにやっても、地球は大丈夫なんです!」みたいな主張を筆者がすると思われるでしょうか?

おそらくいないでしょう。(*そんな筆者がいたらちょっと読みたいかもしれません(笑))

知らない話題でこそ、英語のルールを意識しよう


しかしながら、やはり全く知らない分野の話や、エッセイなどが出題された場合、この文法というルールに当てはめて読んでいくしかないです。

例えば、同志社大学などの長文では、敢えてあまり学校では教わらないような話が出題されます。

最近読んで覚えている内容ならば、アメリカの現代医療の話題でした。

その中で、最も注目したのは、若い医師の方が、熟練した医師に比べて、より患者視線で、医療ミス的なものも少なく、かつ薬剤の処方量が少ないという研究結果が引用されていたことでした。

このように、自分も触れたことのない話題が出てきて感心することが多く、よく妻に話したりします。(まぁ、当日の受験者の皆様は決してそうは感じないでしょうが・・・)

ただ、もし、先の話題を文法通り読まず、経験則に頼るならば、「熟練した医師の方が、少なくとも医療ミス的なものは少ない」と思い込んでしまうのではないでしょうか?

だから、「文法」に従って読むことは大切です。

また、文法通りに読むことで単語の推測力もあがりますので、文法通りに読む、訳すという習慣を身に着けるとお得なことが多いのは事実です。

ただ、文法、文法といっても、学校で長い時間をかけて習う文法全てを指示しているわけではありません。

ここでの文法とは、最低限英文を読むためのルールです。

それを和訳する際も実践していただきたいのです。

実のところ、前回に書かせていただいた和訳の下書きとは、単純に英文を読んでいくときに読み上げる日本語を紙に書いたもののことです。

ものすごーく基本=主語

では、ここから、順序立てて見ていきたいと思います。

あまりにも当たり前で、ここから話すのかよとクレームが入るかもしれませんが、大切なので、飛ばさずに読んで頂きたく思います。

第一に、「主語」についてです。

まず、国語辞典からの引用を以下に載せます。

1 文において、述語の示す動作・作用・属性などの主体を表す部分。「鳥が鳴く」「山が高い」「彼は学生だ」という文で、「何が」に当たる部分をいう。日本語では、主語がなくても文として成立する。

ざっくりというと、主語とは、文の中で、何が、誰がするのかを表す言葉です。まぁ、文の中の主人公とでも思ってください。

それがどうしたと思われるかもしれませんが、この「主語」をきちんととらえることは重要なのです。

主人公は何処に?

なぜならば、辞書の引用にも書かれていたように、なんと、主語がなくても文として成立するのです。

つまり、「省略」されてしまうことが多々あるのです。

そして、「なんとな~く、そこにある雰囲気や文脈で」主語を無意識に感じ取っていることが多いということです。

大体、主人公は先頭!?

大体、「主人公」は普通、先頭に来るはずです。

アニメや映画の宣材写真やポスターで主人公が、右端にいることなんてあるでしょうか?

そんなことはないでしょう。

確かに、辞書の例文にある「鳥が鳴く」であれば、「~が」とあるので、主語は「鳥」だとすぐに言えると思います。

実際、他の辞書の例文での主語の位置は文の先頭です。

しかし、日本語では主人公であるはずの「主語」の位置が先頭でないことも多々あるのです。

例えば、次の文の主語はどれでしょうか?

各国の面白い料理が好きなミカエルは輸入食材店に入りびたりだ。

~が、が付いているので、「料理」でしょうか?

実は、そう簡単に見分けることはできないのです。

述部を考える必要があり、「入りびたり」なのは、誰、あるいは、何なのかを考える必要があるのです。

だから、ここでは、「ミカエル」が主語になるのです…

追い打ちをかけるようですが、主人公が省略されるだけでなく、主人公がいても、どこにいるかは、決まっていないのです。

主人公、無し… そんな…

そして、とどめを打つのが以下の例文です。

「象は鼻が長い」、「こんにゃくは太らない」、「明日は運動会です」

実のところ、このような文には、学者の間で「主語」自体がないのではないかという熱い議論が未だ交わされているのです。

日本語では、主語は主人公の癖に、神出鬼没なのです。

この特殊な日本語の事情ゆえに、個人的な感想ですが、文の主人公である「主語」を空気のように気にしない方が多いように思えます。

実際、英語の文を訳していただくときに、かなりあいまいに主語をとらえている方が多いように思えます。

口頭で訳してくださっている日本語で、十分こちらとしては理解できるのですが、その内容を分かりやすくまとめてもらった際に、ピントのずれた解答になってしまったりすることがあります。

個人的に、まとめるのがあまり上手ではない、長文が頭に入ってこない一つの大きな理由に、主語をきちんと意識して読んでいないことがあげられるのではないかと思っています。

英語の主語は?

しかし、英語は日本語と違って、必ず主語はあります

それに加え、どこにあるか迷う必要もありません。

英語における主語は、ほとんどの場合、一番先頭に来るからです。

だから、主語を見失うことはありません。

主人公は先頭にいるのです。

これは、英語話者が日本語話者に比べて、主語に意識を向けているかの現れであると思えます。

その背景には、古くから多種多様な人々が交じり合って生活していた場所で使われてきたことがあるのかもしれません。

きっと、「空気を読む」といった暗黙の了解なんてなかったのだと思います。

それゆえ、物事を伝える際は、きちんと話さなければ伝わらない環境下で形成された言語であるからこそ、文の主人公である「主語」に意識を置いた、あるいは、置かざるを得なかったのだと思います。

日本語と違い、英語では決して、主語を見失うことはありませんので、今までよりも「主語」に意識を向けて、読み、訳していただきたいです。

そして、必ず、日本語に訳す際、主語のあとには、「○○は」あるいは、「○○が」を入れて訳してください。

これがルール1です。

こんな当たり前のことと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実のところ、大半の方々は、何度も何度も、このルールを破られます… 

だから、しっかり主語のあとには、○○は」あるいは、「○○が」を入れて訳してみて下さい。
そして、これが文の主人公になるのだということを意識してくださればと思います。


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