第2回教養ゼミ
* 期日:6月7日(日)13:00〜16:00
* Zoomを使用して、オンラインでゼミを開催します。
今回、読むテーマ
Ⅰ テクノロジー面の難題
<引用>
人類は、ここ数十年にわたって、グローバルな政治を支配してきた自由主義の物語への信頼を失いつつある。
人類がこれまで出合ったうちでも最大級の難題の数々を、バイオテクノロジーと情報テクノロジー(IT)の融合によって突きつけられている、まさにそのときに。
今回のゼミは、上記のように紹介されている第1部の内の2テーマを読んでいきます。
1 幻滅 先送りにされた「歴史の終わり」
本テーマでは、「人類が、グローバルな政治を支配してきた自由主義の物語への信頼を失いつつある」現状について、ハラリが考察していきます。
ハラリは、自由主義を擁護する立場から論考を進めています。
「はじめに」では、「自由民主主義は、他のどんな選択肢と比べても、より多くの社会で、より多くの状況でその有用性を発揮してきた。したがって、私たちの前途に待ち受ける新たな課題を詳しく考察するときには、自由民主主義の限界を理解し、その現状をどのように適応させたり改善したりできるかを探求する必要がある」と述べています。
今回の第1テーマでは、そのことが考察されていきます。
じっくり読んで、Citizen Empowerment を実現していくにあたって、自由主義をどう立て直していくのか、何が今、私たちに問われているのかを考えていきましょう。
2 雇用 あなたが大人になったときには、仕事がないかもしれない
本テーマでは、「バイオテクノロジーと情報テクノロジー(IT)の融合」を軸に進む技術革命が人類に、最大の難題を突きつけることが考察されていきます。
ハラリは、「はじめに」で、「ITとバイオテクノロジーが融合することで、間もなく何十億もの人が雇用市場から排除され、自由と平等の両方が損なわれかねない。ビッグデータを利用するアルゴリズムがデジタル独裁政権を打ち立て、あらゆる権力がごく小数のエリートの手に集中する一方、大半の人は搾取ではなく、それよりもはるかに悪いもの、すなわち無用化に苦しむことのなるかもしれない」と論じています。
リードでは、昨年から「AI時代の仕事と教育」のあり方について考え、AI時代には、今までの仕事が大半なくなっていくこと、AIにはできない人間にしかできない力を伸ばしていくことの重要性を考えてきました。
ハラリは、それ以上に踏み込んで、「21Lessons」全体での重要な概念である「無用者」階級(Useless Class) を考察していきます。
すなわち、技術が発展することによって、「人間の存在意義が喪失する」事態がもたらされると警鐘を打ち鳴らしています。
まさに、Citizen Empowerment の真逆の事態を見据えて、逆にEmpowerment のためには、どうしたら良いのかを考えていく手がかりを与えてくれていると思います。
ハラリの問題提起をしっかり読み解き、じっくり考えていきましょう!