
帰国孤児・篠原禮子さんの引き揚げ体験を伺う会を開催しました
2025年11月1日(土)、大学受験パーソナルラボLEADでは、戦後80周年企画として『わたしはみたの―戦争と少女』(かんもん書房)著者の篠原禮子さんをお迎えし、特別講演「朝鮮からの引き揚げ体験を伺う会」を開催しました。
会場には、塾生・卒業生、保護者の方々、そして篠原さんが教員時代に教えられた教え子の皆さんなど、約40名が集まりました。
篠原さんは、当塾の卒業生・篠原直生君のおばあさまでもあります。
2時間にわたるお話と質疑応答の時間は、静かな緊張と深い感動に包まれました。
◆ 9歳の少女が見た「敗戦と引き揚げ」

篠原さんは1936年、当時の朝鮮・京城(現在のソウル)に生まれ、朝鮮北部の会寧小学校在学中の9歳で終戦を迎えました。

引き揚げの途上では、弟をトロッコの中で失い、母を病で亡くし、父も帰国直前に病に倒れました。6人家族のうち、帰国できたのは3人だけ。




ようやく博多港にたどり着いたときには、着の身着のまま、身も心もボロボロだったと語ります。

その後、徳島大学を卒業し、東大阪市の小学校教員として長年子どもたちに寄り添い、平和教育にも尽力されてきました。
今回の講演は「これが最後の講演になります」との言葉とともに行われ、参加者にとっても本当に貴重な“最後の証言”となりました。
☆講演をYouTubeで限定公開しています。ご視聴希望の方は、スクパス・LINEでご連絡いただきましたら、視聴方法をご連絡させていただきます。(条件あり)
◆ 「引き揚げ」とは何だったのか
講演に先立ち、LEAD代表・岩崎が、「引き揚げ」と「復員」の規模や歴史背景を整理しました。
厚生労働省などの公的資料によると、敗戦時に海外にいた日本人は約660万人。うち、民間人約318万人、軍人・軍属約311万人、あわせて約629万人が引き揚げ・復員しました。
なぜこれほど多くの日本人が海外にいたのか。
その背景には、日清戦争以降の植民地支配と侵略戦争の拡大がありました。
会では、朝鮮の独立運動や徴用、戦争による犠牲の実相も学びながら、戦争がもたらした“国家と個人”の双方の悲劇を共有しました。

◆ 参加者の声から
講演後には多くの感想が寄せられました。その一部をご紹介します。
「学校の授業では学べないことをたくさん知り、戦争を決して繰り返してはいけないと感じました」(中3女子)
「悲惨な体験をされたのは日本人だけでなく、世界中にいることを改めて知りました。戦争を正しく学べば、賛成できる人はいません」(大学2回生女子)
「戦争体験を直接聞くことで、日常の小さな悩みがいかに小さいかを痛感しました。命をつなぐという言葉が心に残りました」(19才女性)
「『命はつないでいくもの』という篠原先生の言葉が忘れられません。私たちは記憶を受け継ぐ最後の世代です」(20代男性)
「辛い記憶を語ってくださった勇気に感謝します。自分も人を許し、感謝して生きていきたいと思いました」(50代女性)
若い世代から高齢の方まで、共通して聞かれたのは「命の尊さ」と「今をどう生きるか」という問いでした。
☆参加者の感想は、こちらからお読みいただけます。(pdfファイル)
◆ 「昔の悲劇」ではなく、「今の生き方」の問題として
篠原さんは講演の最後に、静かにこう語りました。
「戦争を二度と起こさないということは、
ただ“反対”と言うことではありません。
人の痛みを想像し、命を大切に生きること。
それが平和の第一歩です。」
その言葉に、会場は深くうなずき、静かな拍手が起こりました。
◆ これからの平和学習へ
今回の会は、篠原直生君の提案から始まり、LEADの生徒・卒業生・地域の方が共に学ぶ場となりました。
篠原禮子さんは、最後に語っていらっしゃいました。
「こうした体験を50才までは語ることができませんでした。」と。
それは、戦後、孤児として生きることが厳しい日本社会の現実があったことがひしひしと伝わってきました。
にもかかわらず、戦争を体験した人間として、次の世代に語り継ぐ必要があるということを強く感じられて、子どもたちに語りかけ始められました。
その最終盤の機会として、LEADでお話しいただきましたことに、心から感謝申し上げます。
また、参加者の方々が、その禮子先生の思いに触れて、すばらしい感想を書いてくれました。
特に若い中高生・大学生・社会人の人たちには、平和と命の大切さや自分自身の生き方を見つめ直すきっかけを頂けたというようなコメントが多々寄せられました。
こうした感想を読ませてもらうと、戦争を体験された方・世代から、これからの人たち・世代に、とっても大事なことがバトンタッチされたのではないかという実感が持て、未来への希望が持てたように思えます。
LEADは、確かに、受験や勉強をサポートする塾ではありますが、こうした若者たちを育てることも大事な使命と考えています。
今回は、テストの点数を追求するだけではなく、しっかり命や平和を真剣に考える若者たちと共に貴重な時間を共に過ごすことができ、とても嬉しいものがありました。
「戦後を新たな戦前にしないために」——この想いを胸に、LEADでは今後も生徒の皆さんが学びを通じて社会とつながり、命の尊さを考える教育を続けていきます。
代表・岩崎 美好

🕊️ 関連リンク
▶ 書籍紹介:『わたしはみたの―戦争と少女』(篠原禮子著)
〜LEADには、2冊ありますので、読みたい方には貸出いたします。ご連絡ください。
▶ LEADコラム記事:戦後80周年企画「帰国子女・篠原禮子さんの引き揚げ体験を伺う会」
