エマニュエル・トッドを読む教養ゼミ

激動する世界!今、どう生きるか?

今年度教養ゼミは、エマニュエル・トッドを読みます。

塾生・卒業生、ご縁のある方に参加していただくことを呼びかけたいと思います。

今、私たちは、激動の世界に生きています。

コロナのパンデミックの後、ウクライナでの戦争、パレスチナ・ガザでのジェノサイド、世界的なインフレ、日本では、円安ー物価高、引き続く賃金の実質低下、防衛費の大幅増加ー実質増税による国民負担率アップ、一方では、世界でも日本でもパレスチナ連帯の輪が広がったり、日本各地の選挙で現状改革を求める声が大きくなってきたり、ChatGPTなど本格的なAIの時代が始まってきたりしています。

この中で、一人ひとりが希望を持って、平和に生きていくためには、人間や社会をどう考えていけばいいのでしょうか?

そして、私たちは自分自身がどう生きていきたいのか?

参加者みんなで、世界の動き、社会や人間の在り方を、本質的にとらえる論議を重ね、しっかり考えていきたいと思います。

高校生も受験勉強の渦中にありますが、だからこそ、関心ある人には、社会の一員として、何のために大学に行くのかをしっかりとらえ返す場を持ってもらうこともあってもいいと思います。

偏差値の数字で行く大学を決めるのではなく、社会の中での自分の生き方を考えて、主体的に生きてく過程として、大学も選択してもらえたらと思います。

その意味で、日頃の勉強にプラスして、教養ゼミは、参加者みんなのディスカションを通じて、参加者各自が視野を広げ、視座を高める機会となることを目的としています。

この本です。新書なので、高校生でも読みやすい!

教養ゼミは、人間・社会の見方を鍛えます

LEADでは、10数年、受験勉強だけでなく、人文学、社会科学の文献を読むゼミを続けてきました。

基本的に、ゼミでは、一冊の書物を読み解き、人間とは何か、社会はどうあることが望ましいか、などという答えがない問いを、参加者みんなで考えてきました。

高校生から参加できます。

あらかじめ知識は入りません。

初めは難しく感じるかもしれませんが、社会科学の文献にチャレンジしてみようという気持ちがあれば大丈夫です。

先輩の大学生・社会人も参加してくれますので、幅広く、色々な立場の人の考えに触れることができます。

以前は、ドイツ・カナダなど世界各地の卒業生も参加してくれましたので、世界の動きもリアルに聞くことができました。


今回も、東京など各地からの卒業生のオンライン参加も含め、高校生・大学生・社会人の色々な立場の人が参加されますので、参加するだけで、視野が広がると思います。

入試でも、仕事でも、自分の頭で考える力が問われています

20世紀型の仕事では、与えられた仕事をマニュアル通りにこなせればよかったものですが、21世紀型の仕事は、課題を自ら発見し解決していくような仕事の仕方が求められています。

それに伴って、大学入試も、センター試験から共通テストへ転換され、思考力・論理力を問われるような入試に変わってきています。

つまり、仕事でも、学習でも、言われたことだけを覚え、こなしているだけでは通用しない時代になってきています。

こんな時代だからこそ、高校生、大学生、そして社会人にも、みずから社会の動きを捉え、その中でどう生きていけばいいのか、どう周りの人たちと協力関係を作っていけばいいのかを考える力を養ってもらいたいと思います。

今回のゼミでは、トッドの「第三次世界大戦はもう始まっている」を読み解き、その内容を手掛かりに、「現代世界はどのように動いているか?」「その中でどうしたら明るい未来を切り開いていけるのか?」「誰もが安心して暮らせる社会とは?」などなどについて、参加者みんなで考えていきます。

トッドは、フランスの歴史学者・人類学者で、国・地域における家族システムの違いや人口動態に注目する方法論で、ソ連の崩壊、リーマンショック、アラブの春、トランプ当選、Brexitなどを”予言”したことで有名です。

トッドは、本書で、「本来、簡単に避けられたウクライナ戦争の原因と責任はプーチンではなく、米国とNATOにある。事実上、米露の軍事衝突が始まり『世界大戦化』してしまった以上、戦争は容易に終わらず、露経済よりも西洋経済の脆さが露呈してくるだろう。」と語っています。

このような観点で、ウクライナ戦争に焦点を当てて、アメリカ側のG7陣営とロシア側のBrics+(グローバルサウス)陣営(GDP総量はG7を超えています)との対立構造を、政治経済の観点のみならず、もっと深層で人間社会を規定している家族形態の人類学的視点から解き明かしてくれています。

今回のゼミは、このようなトッドの視点を手がかりにして、ウクライナに続いて起きたパレスチナでの戦争、そして、その世界の中での日本の状況なども、考えていきたいと思います。

このような社会科学の本を1人で読み解くのは、慣れない人にとっては、なかなか大変かもしれません。

ですので、参加者みんなで、自分の理解や疑問、今日的な問題意識を出し合いながら、ディスションをしていくことで、1人ではつかめなかった認知風景が広がってきたり、新たな気づきが得られればと思います。

ゼミは、何か、統一的な見解をまとめる場でも、正解がある解釈をする場でもありません。

一人一人が、社会や人間について、視野を広げ、視座を高めるための場にしていきたいと考えています。

同書 P.154-155より。G7とBrics+(グローバルサウス)との対峙の状況が見えてきます。

ちょっと立ち止まって、世界のことも考えていきましょう。

今、これだけ世界が激動していても、高校生・大学生、そして社会人にとっては、日々の勉強・仕事に追われて、人間や社会のあり方、そして自分の生き方をじっくり考えている機会、あるいは、周りの人たちと真剣に語り合う機会が、実はあまりないのではないでしょうか。

確かに、高校生が受験勉強のために学習したり、大学生が大学で単位を取ったり、就活をしたり、そして、社会人が日々の業務をこなしたりすることは大事です。

しかし、そのように忙しく過ごして、私たちはどこにいこうとしているのでしょうか?
根本的な方向性は、見えているでしょうか?

こんな時だからこそ、意識的に時間をとって、状況に向き合い、自分に向き合って、考えることも必要なのではないでしょうか。
仲間と真摯に対話して、自分の考えを深めていくような時間を持つこともあっても良いのではないでしょうか。

今のこの時でも、ウクライナやガザでは、多くの人たちが命を奪われつつあります。
こうした事態は、今日の世界の政治・経済の構造の中で起きていて、私たちの日常もその構造の中にあり、私たちもその構造を構成する一要素になっているとしたら、自分が変わることで、世界で起きていることを変えていくことができるかもしれません。

すぐにできることは、わからないないかもしれませんが、同時代にこの世界に生きる人間として、何が問われているかを考えていく必要はあるのではないでしょうか。

受験勉強のように、答えはありません。
でも、自分で問いを立てて、深く考えてみることを、一緒にしてみませんか。

第1回トッドゼミ:6月9日(日)のご案内

1)期日:6月9日(日)14:00〜17:00
2)場所:LEAD (オンライン参加できます)
3)今回の範囲:トッド『第三次世界大戦はもう始まっている』の1(P.1 〜P.90)
4)進め方:2人のレポーターに内容を報告してもらいながら、適宜、みんなで疑問・問題を出し合いながら、ディスションをしていきます。塾長が、ファシリテーターを務め、議論を交通整理していきます。
5)参加費:無料

塾生、卒業生、イコリューのボランティア参加者などは、どなたでも参加していただけます。
参加希望の方は、ご連絡ください。

【補足】トッドについての情報

① 人物像については、wikipediaでみておいてください。

② 堀茂樹先生(慶應名誉教授、トッドの翻訳多数)のトッド紹介
YouTube:「目からウロコ!―人類学者エマニュエル・トッドは何を発見したのか?」

③古舘伊知郎チャンネルの本書の紹介
YouTube「第三次世界大戦開始?トランプ当選を予想したエマニュエル・トッド氏の予言」

同志社大学 学生へのトッドからのメッセージ:HP
YouTube:「本学学生へのメッセージ」

⑤京都大学人間・環境学研究科
Youtube:「世界経済危機とアメリカ帝国の崩壊」3. 講演 エマニュエル・トッド 2009年10月20日


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