小論文の現場から〜具体例だせない高校生〜

ご挨拶

 おはようございます。こんにちは。こんばんは。大学受験パーソナルラボLEADの国語科の桝崎徹です。

 新年度もとっくに始まっており、連休も早々と終わり、そろそろ新学年最初の中間テストも返却されるというこの時期、皆様、お元気でいらっしゃいますでしょうか?

 こちらはと言いますと、相変わらず授業の合間には、恒例の生駒駅前での『ギター弾き語りチラシ配り』をやってますねんで・・・‼
皆様、生駒にお立ち寄りになられた際には、是非、無視しやんとしばらくは見ていってくださいまし・・・‼

・・・というような近況報告というか、心からのお願いをしつつ、こちらのブログも長いことお休みの状態でして、こらなんぞ書かなあかんがな‼となりまして、今回は表題のように「小論文の現場から」から見えてきたことを書いてみたいと思います。
(・・・なんかエライ表題にしてしまいました・・・(-_-;))

 また今までのようにいろんな寄り道をしながら書いていきますので、長くなるとは思いますが、御用とお急ぎではない方は、のんびりと最後までお付き合いいただけましたら嬉しいです。

小論文の現在

 さて、小論文です。最近の大学受験のシステムとしまして、多くの方がご存知でしょうが、いわゆる一般入試だけではなく、様々な受験の形態が出てきまして、その試験方法として、小論文という形態が多く採用されています。(昨年度のLEADの場合は、「指定校推薦」「総合型選抜」「学校推薦」「一般入試」で小論文対策が必要となりました。)

 その小論文対策授業の現場で、今まで以上に起こっている「事件」について、皆さんと共有しながら、桝崎が現場で感じ取ったこと、考えたことをまとめていきたいと思っています。
・・・そうです、やっぱり、事件は会議室で起こっているのではないんです‼現場で起こっているんです・・・‼(・・・もうこの名セリフを共有できる世代の生徒もおりませんわ・・・( ;∀;))

※これから書いていくことは、いわゆる「小論文の書き方」という性格のものではございません。それらはたくさんの有名な先生方の本がありますから、そちらを参照なさってくださいまし。

一般に、小論文には「型」がありますので、その「型」の沿って書いていけば、それほど大きな間違いはありません。ただ、大事なのは、その「型」の中に、何を詰め込んでいくのか、ということなんです。「お弁当箱」の形はだいたい決まっているんです。ただ、そのお弁当箱に、どんなおかずを入れていくのかが、小論文という名のお弁当の大事なところになってきます。

 今回は、その「おかずの作り方」です。

出題形式

そもそも小論文には出題の形式が大きく分けて二つあります。

  • テーマ型…「~についてあなたの考えを書きなさい。」というもの。(例えば医学部ならば、「“インフォームドコンセント”について、あなたの考えを書きなさい。」など。)
  • 課題文型…誰かの評論文やエッセー、詩などが与えられており、(グラフや図表、マンガなどもあります。)その筆者の主張を受けた上(ここまでは現代文の力が必要です。)で、あなたの考えを述べなさい。というもの。

上記の形式のどちらにも共通しているものは、「あなたの考えを述べなさい。」ということですね

 自分の考えを、筋道立てて、読んでいる人に伝わるように、書く。ということです。

求められているもの

この時、大切なことは、自分の考えというものは、読んでいる(採点してくれている)大学の先生がびっくりして、「はぅあっ‼この考えは今までにない、どの学会でも発表されていない、斬新なものである・・・‼」というようなものである必要は全くない、ということです。

・・・そもそもそのようなものを制限時間内に、大学受験生は無理、ということで、また大学側もそんなものを求めていない、ということです。
・・・だから「小さい論文(=小論文)」なんです。それでいいんです。

 大切なことは、現在、高校三年生か、あるいはもう少し年上のあなたが、今まで学んできたこと、生きてきたことをふまえつつ、与えられたテーマに沿って、大人にも伝わるように、社会とのつながりを意識しながら、筋道立てて書く、ということです。

現場で起こっている“事件”

・・・もう既に前置きが長くなってしまいました。(-_-;)

 さて、その状論文の現場で起こっている事件の詳細です。

 表題にも使いましたが、「具体例が出せない具体化できない生徒が、非常に多い。」ということなんです。

●“事件”の詳細

 もう少し、詳しく説明します。

先に書いた「小論文の型」としては、「自分の考え(=主張)」➡「理由」➡「具体例」➡「結論」という流れが自然です。

小論文に限らず、自分の考えを誰かに伝えるとき、

俺、〇〇〇って考えてんねんけど(主張)。

なんでかっていうと×××やろ(理由)。せやから〇〇〇やと思うねん。

例えばさぁ、△△△ってあるやん(具体例)。この前、△△△っていうことがあって、これって、〇〇〇と同じやん。いや、たしかに、×××っていうこともあるけどさ、それは違う気がすんねん。要するにさぁ、~~~」

という流れでしょ?(※上の関西弁の会話でも分かると思うのですが、「〇〇〇(=主張)」と「△△△(=具体例)」は「イコールの関係」ですね。ちなみに「○○○=△△△」⇔「×××」で対比の関係ですね。この場合は「譲歩」の形式を取っています。)

で、今回のブログで一番お伝えしたいことは、この時の、「例えばさぁ、△△△ってあるやん(=具体例)。これって、○○○と同じやん。」が出てこない生徒さんが、最近、ホンマに増えた、ということなんです。

小論文だけではなく、推薦型の受験で必要とされる「志望理由書」でもそうです。

●“事件”を具体的に

例えば、与えられた課題文の筆者の主張、またそれをふまえた自分の主張が、「現代の世界に多様性を認めることは大切だ。」であったとしましょう。

その時に、その理由が、具体例が出てこない出てきたとしても、与えられた課題文の内容をなぞるだけになってしまう。

(例えばこの場合、具体例として考えられるのは、「よく行くコンビニの店員さんの外国の人が多くなってきている。」「ご近所で外国の人を最近、よく見かけるようになった。」「自分が短期だが外国にホームステイに行った時のこと」「人間だけではなく、生物についての多様性について考えてみたい。」などの例を、実際の小論文に書く、書かないはおいといて、構成を考える際のメモにあげることができているか?がとても重要になってきます。(“小論文はメモが命‼”ですからね‼)

それから、どの具体例を使って、自分の論を深めていくことができるか、という次の段階に移行しなければなりません。

言い換えれば、「多様性」というキーワードからの連想ゲームを、どれだけ素早くできるか?ということです。・・・それが、できない・・・‼

なぜこんなことが起こるのか?

考えられる原因を上げるとすれば、

  • 普段から、身近に起こっている現象に対して注意を払っていない。
  • 気づいていたとしても、それはそれ、として切り離している。

からではないでしょうか?

●原因をもう少し掘り下げてみる

小論文を選択するからには、自分が志望する学部/学科に関連するキーワードや歴史、現在どのような事象が起こっており、どのように学ばれているのかについて、ある程度ストックしておかなければなりません。(「ある程度」と書きましたが、これが小論文の対策として一番肝になってくるところです。)

 例えば、国際系の学部であれば、「グローバル」「異文化」「多様性」などのキーワードが挙げられますね。(いや、もぅ国際系に限らず、様々な分野で使われる言葉です。「よぅ分らん・・・。」という方はもっと視野を拡げましょう‼)

 ただ、あくまでこのような勉強の仕方は、「座学」の分野であって、あくまでも「知識」の吸収です。小論文で求められているのは、その知識を吸収したうえで、先ほども書きましたように「社会とのつながりをどれだけ意識しているか?」です。

 友達同士の、単語だけでの会話が通用する関係性では確かに「社会」と呼ばれるものと違うところはあるかもしれませんが、それでも、自分以外の他者で構成される集団ですから、社会と呼べなくもありません。大切なのは、その関係性から、どのように社会と結びつけるか、という連想の仕方です。(先ほどの例での「ご近所」であるならば十分に「社会」です。・・・あ、「コミュニティ」というキーワードも大切でっせ‼

もちろん、それまでに購入しているであろう『小論文のネタ本』や『これで合格‼小論文‼』のような書籍には、小論文で出題されそうな事例やそれに関するキーワードの解説は書かれていて、本人もマーカーなんかでチェックはしているんでしょうが、それらの意味を、身近に引き寄せて、あるいは自分から進んで近寄って理解しようという姿勢がないんだと思います。

身近に引き寄せて考えるためには、「そもそも多様性とは何なのか?」「そもそも異文化とはどのようなもののことを言うのか?」などの考えを普段からしていないとあきませんねん‼

・・・ちょっと話がそれますが、スタジオジブリ先品は、「ジブリという会社内で起こっていることは世界でも起こっているはず。またその逆もあるはず。」という信念のもとに作られているとのことです。(桝崎のブログに「ジブリ」「宮﨑駿」というキーワードが何度出てきたことでしょう・・・。)だから多くの人の共感を得るのでしょう。

原因の原因

じゃあ、なんでこうなるのか?

 ぶっちゃけて書くと、「なんや小難しいこと言うてはるけども、なんか言うてはるわぁで終わってしまうことが多い考え方が主だからだと思います

抽象的なこと、なんか新聞とか現代文の教科書に出てきそうな一見、難しそうな言葉は、自分には関係ないと思っている。どんだけ、多様性やとかグローバルとかいう言葉を読んでても…。

(余談ですが、だから、ことわざも意味が分からない子が多いんでしょう。ことわざ、慣用句こそ、具体→抽象の最たるものです。)

ほんだら、これからどうなる?

 こういう現象って、小論文だけにとどまらず、例えば小説を読んでいたり、映画を観ていても、その作品の主題(テーマのようなもの)を自分に引き寄せて感じる、考えることができなくなっていくということではないでしょうか?

・・・また「ジブリ」ですけでも、そら普段生きている世界に王蟲は出てきませんわ。ほうきに乗った小さな魔女が荷物を届けてくれることもありませんし、赤い飛行艇を操縦し人間の言葉を使う豚も、そら、いませんがな。でも、読み取るべきこと、感じ取るべきこつは、そうことではないでしょう⁉

あるいは、現実に遠くで起こった事件、災害、いや、もっと身近で起きている出来事などに関してにさえも、自分に引き寄せて考えられない、感じることができなくなっていくのかもしれません。

ほんだら、どないしたらええねんっ⁉

…なんやら、今の高校生に対して文句ばっかり言うてるようなオッサンになっている感が否めませんな・・・(-_-;)。

「・・・ごちゃごちゃ言うとるけども、ほんだらアンタが高校生の頃はどうやってん⁉ぉお~⁉」と、ベタに体育館裏で胸ぐらをつかまれながら迫られましたら、「・・・いや、そんなん、ちがいますやん・・・。なんか、そんなん、めちゃくちゃですやん・・・、ハ、ハハ・・・。」と引きつり顔で答えるしかないでしょうが、ただ、それでも、自分の興味のあることをいろいろと探っていったら、いろんな点と点が線でつながっていくような感覚はあった気がするんです。

例えば自分の場合、「映画」がそうでした。(ちょっと小論文、と離れるかもしれませんが・・・。)そんなん、ネットとかもない時代でしたら、本買うたり、図書館いったりするしかなかったですけども。ほんだらそこから、「文学」につながっていったり「哲学」という分野につながっていったり。「・・・あ、あれって、そういうことやったん⁉」というような感覚があった気がします。なんかこんなんが大事な気がするんですよね。

でも、具体的な体験がないわけではない‼

ところで、小論文対策の現場で、高校生にでもゆっくり話を聞くと、いろいろエピソードは持ってはるんですよ。当たり前ですよね。毎日、生きているんだから。部活のこととか。学校での出来事やご近所圏内の現象とか。でも、それらのことは小論文に適さないと捉えてる。なんか難しそうなことを書かないといけないと考えてしまう。

だから、やっぱり・・・‼

いろいろ書いてきましたが、やっぱり結局は、昔から言われているように「自分の頭で考えてみること」が一番大切なのです頭だけではなく、十代のみずみずしい感性で、全身を使って、今、起きていることに対して考える。挑んでいく。何が起こっているのか?なぜ起こったのか?何が問われているのか?これは小論文だけのことではなく…。

 どうか皆さん、皆さんが生きている世界は、そのまま世界につながっているという意識で、小論文に・・・いや、日々、生きてくださいませ。

 今回は今までになく、長く書いてしました。

 最後まで読んでくださった方がおられましたら、本当にありがとうございました。

番外

 「書く」ということについて、また少し考えました。

自分たちの時代(現在、運転免許をいまだに取得できていない46歳です‼)は、だいたい、何かを「書く」というアウトプットの前に、「聞く」➡「読む」➡「話す」という前段階があって、それから「書いて他者に伝える」という過程がありました。それに対して、現代の若い世代の人たちは、小さいころからスマホを持ち、そのような段階を持たず、いきなりスマホという媒体でLINEなどで伝える、というかたちです。それも単語で。自分の言いたいことだけ。話の通じる仲間内だけで。

 ですから、まず、「文章で書いて(単語ではなく)、他者(世代も違う、顔も見たことがない人たち)に、自分の考えを伝える」ということに、慣れていないのでしょう。

 また、その「書いて伝える」という方法の前の、頭の使い方、にも自分たちの世代とは違うところがあるように見えます。

 「スマホ」という「完全に自分だけの世界」に生きているので、世間のこと、世界のことが自分の中に入って来ない。もちろん、スマホから様々な情報を得ることは出来ます。ところが、それらはあくまでもただの情報であって、自分に関係することではない。受験に関すること以外は。

・・・そんなことなんかも、今後、現場からお伝えできればと考えています。


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